数年前から〔終活〕という名の活動がメディアに取り上げられています。
そんな終活ですが、実際…「やっている人なんているの?」と疑問をお持ちのかたもいらっしゃらると思います。今回は、終活の現状…について紹介いたします。
終活の内容
終活といっても、1から10まで…すべて行う人は、まだまだ珍しいでしょう。また、昭和の頃から終活の一部は…ごく普通に行われてきましたし特別な事でもありません。
現在は〔終活ビジネス〕として、葬儀、お墓、行政書士等…業者へ依頼する為の事前商品として提供されている感じが強いといえます。
例えば…終活には以下のような内容が含まれています。
- 今後のお金の使い方について
- お墓について
- お葬式の内容
- 自宅やモノの整理
- 財産の管理
- 遺言書の作成
- 介護・医療について
などなど…複数の項目があり、それを1つにまとめることができるメモを〔エンディングノート〕と呼んでいます。
このエンディングノートは、市販されていたり、業者へ資料請求をすると無料でもらえたりします。
では、現在…「終活を行っている人はいるのか?」ということですが、まだまだ少数派です。
健康なうちは、終活なんて絶対にやらない
それは、終活を行うメリットが余り無いからです。人は「自分の不安を解消したい!」と思わないと行動に移せません。
反対に、自分にとっての不安や悩みに対しては素早く行動に移せます。それが、より強烈なものなら…より一層、解決へ向けて走りだすでしょう。
なので、自分や両親が健康な間は終活なんて全く気にしませんし、メリットにも感じません。逆に、そんな面倒なことを考えることがデメリットに感じてしまいます。
終活を考えるきっかけは…病気で入院やご永眠後
高齢になり自分や両親が入院すると状況は変わってきます。終活を意識することになるきっかけが入院です。
- お金の不安
- 体調の不安
- 死後の不安
ここにきて、色々な不安がでてきます。この不安は自分事なので、ちょっと面倒でも動かざるおえない状況となります。
ご自身や家族によっては、エンディングノートを書いてみたり…葬儀業者へ事前相談をしたり…墓地を見学されたりもします。
また、ご両親のとちらかがお亡くなりなった後も考えるキッカケになることがあるでしょう。
終活ってメリットあるの?
あるか?ないか? といったら、終活をするメリットはあります。学生の勉強で例えると…終活は予習になります。
でも、なかなか自分から予習はできませんし、それが普通です。ですが…その結果、緊急性の高いお葬式では余計な出費や事後の後悔が増えてしまうこともあります。
そうならない為にも、終活という事前対策が効果的となります。それでは、いくつか簡単に紹介します。
❶ 今後のお金の使い方について
2017年あたりから〔〇〇ファースト〕という言葉が流行りだしましたが、終活でいうと…今は間違いなく〔生者ファースト〕です。
死後にお金をかけるより、今にお金をかける価値観となっています。自分の健康や家のリフォームなど、生きている今に投資をする人々が今後も増加しています。
介護・医療について
もしも、自分が介護を必要となったとき… 介護を頼まなくてはならなくなったとき… 誰に相談し、どの施設が適しているのか? 知っておく必要があります。
ご本人にとっては、どのような介護を希望するのか? 支払いは、どうするのか? 介護をして欲しい人に伝えておく必要もあるでしょう。
また、介護をするほうにとっては〔介護医療制度〕や〔介護の区分〕〔介護サービスの違い〕など、何となく聞いたことがあるようなことも調べておく必要があります。
葬儀・お墓・供養にかける金額を減らしていく
結局は、終活の最後方にあたる葬儀・お墓・供養にかけるお金を減らさざる負えなくなってきます。
しかし今後…日本でも…葬儀・お墓・供養にお金をかけることは珍しくなっていくでしょう。葬儀とお墓を合わせて100万円といったことも普通になります。
また、葬儀は火葬するだけ…お墓は要らない…という皆様も増加します。それが、今を生きる人々の価値観であり、この流れになる事は数十年前から分かっていました。
今は今なりの、ご先祖様の供養があります。モノや儀式に捕らわれない新しい供養のカタチを一般の皆様が作り始めても不思議ではありません。
❷ お墓の購入
お墓は「自分が祭祀継承者なのか?」それとも「分家なので新しいお墓を探す必要があるのか?」で費用は大きく異なります。
前者ではあれば、ご両親やご先祖が建てたお墓に眠ることができますので、大きな費用の負担はありません。
しかし、後者の場合は新たにお墓を探す必要があります。また、現在では石のお墓以外にも様々なお墓のタイプがありますので、自分に合ったお墓を調べておく必要もあるでしょう。
どこへ、どういうふうに納骨するのか? が大事
今は必ずしも石のお墓を建てる時代ではありません。どう…納骨し納得できるのか? が大事な時代です。
現在の納骨方法では、永代供養墓や樹木葬や自宅供養など…新しいお参りの方法が拡大しつつあります。
お墓は急いで建てるものではありません。じっくりと考え、自分が納得できるお墓(納骨方法)を選んでください。
❸ 葬儀について
葬儀もお墓と同様に、様々な葬儀スタイルがあります。近年では〔家族葬〕や〔直葬〕といわれるお葬式がスタンダードとなっています。
その費用も、地域によって異なりますが…総額25万~150万円程度で納まります。ただ…安ければよい…というものでもありませんので、自分の価値観と合ったお葬式を知っておく必要があります。
供養・お坊さん・お布施はどうなの?
葬儀やお墓に付き物なのが、お坊さんです。
もう既にお墓があり、お坊さんに供養してもらっている皆様もいらっしゃれば、分家なのでお坊さんとは付き合いがない…という皆様もいらっしゃると思います。
現在では、お墓も葬儀も宗教に捕らわれず自由な選択が可能です。もちろん、お坊さんに依頼すればお布施が必要となりますが、手厚い供養が受けられます。
供養の価値観は…人それぞれ
お坊さんを招かない葬儀やお坊さんが管理しないお墓はたくさんあります。そのような、葬儀やお墓を選択するのは「供養は自分達で行う…」といった考えの皆様です。
実際…供養の結果は見えませんので、お坊さんが意味の解らないお経をよんだところで…どうなのかな? と感じてしまうこともあるでしょう。
それに、お布施という供養料も必要で、その金額に見合った価値があるのか疑問に思うこともあります。
ですので…現在の都市部では、お坊さんが不在のお葬式は珍しくありません。この流れは、やがて地方でも定着するでしょう。
供養・お坊さんが必要か? は、人それぞれ異なります。必要だと思ったら…依頼すればよいですし、不要だと思ったら依頼する必要はないでしょう。
お坊さんの供養がなかったとしても、家族に不幸があるとか…故人が迷ってしまう…といったことはなく、それは過去の迷信です。
「ご家族が絶えずお参りすることが最高の供養となる…」と話すお坊さんも大勢いらっしゃいます。
❹ 財産について
「亡くなると口座が凍結される!?」なんて、噂で聞いたことがあるかもしれません。
しかし、死亡届を役所に提出したからといってスグに口座が凍結される訳ではありません。何かしらで情報が銀行に知れた際に凍結されてしまいます。
亡くなった人の預貯金は、亡くなった時点から相続財産となってしまいます。特に相続について問題ない場合でも、まとまったお金を先に引き出しておいたほうが無難なこともあります。
自分自身の場合は?
ご自身の場合は、口座を整理し不要な口座は解約しましょう。家族にとって知らない隠し口座があることもよくあります。
できれば先に、預貯金を把握し家族に伝えておくことが賢明でしょう。
❺ 相続・遺言について
相続や遺言書というと、まだドラマやフィクションの話だと感じてしまいます。
では、実際の家族で遺言書が必ず必要かというと…そうでもありません。たまに…テレビ番組でも取り上げられますが、それは面白く演出する為、最悪なケースを再現している場合が多くあります。
日本全国で探せば最悪なケースは多々あるでしょうが、どの家でも相続争いなる訳ではありません。法律に則り仲良く分配できたり、現金以外の財産でも揉め事もなく分けられることもあります。
よく…お金が絡むと人が変わる…といいますが、自分の子供達を信じて委ねるか…それとも、キッチリと遺言として残しておくかは本人次第になります。
また、遺言書があったから新たな火種になることもありますし、遺留分などで完全に遺言書通りにならないこともあります。
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いかがだったでしょうか?
簡単に終活について紹介しましたが、当事者でないと…なかなか行動に移せないのは仕方がないことです。
しかし、一歩…踏み出して少しづつ進めておけば、まんがいちの際の不安もなくなります。終活はやっておいて損はありません。きっと、あなたの手助けとなってくれるはずです。