今、「お葬式を頼みたい」・・・というご遺族様は確実に減っています。
「えッ!?お葬式って増えてんじゃないの?」と、思われたかもしれません。
実は…今のご相談者様は、お葬式というアバウトな表現ではなく「家族葬」や「直葬」といった…葬儀の内容を1段階…絞った表現をされます。
それは、現在のお葬式では【家族葬】や【直葬】に加え【1日葬】や【無宗教葬】などいった派生型の葬儀が主流になりつつあるからです。
派生型の葬儀とは、普通のお葬式から、何かを省略したり制限する葬儀の事です。
お葬式の内容は、ここ20年ほどで加速度的に規模が縮小しています。
例えば・・・普通のお葬式から、
- 会葬者を制限した葬儀が【家族葬】となります。
- 通夜を省略した葬儀が【1日葬】となります。
- お坊さんを省略した葬儀が【無宗教葬】となります。
さらに、それらを組み合わせた葬儀も頻繁に行われています。もう…すでに、お葬式はオーダーメイドの時代となっています。
普通のお葬式を知っておく
事前に相談される多くの皆様は「お葬式の事がまったく解らないから教えてください…」という相談は、まず…しません。
事前相談をされる皆様が気にしている事はというのは・・・「家族葬」や「直葬」など、数ある葬儀形態の特徴や違いについて…です。
普通のお葬式を理解しておけば、皆様にとって「どんな内容が必要で、どんな内容を省略したいのか?」…が明確になりますので、ぜひ…ここで普通のお葬式を再確認していただければと思います。
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普通のお葬式の条件とは?
地域により若干…内容が異なりますが、10年前はオーソドックスな葬儀内容です。
❶ 日程は、通夜と葬儀(告別式)の2日間で執り行います
- 1日目が通夜
- 2日目が葬儀(告別式)
基本的に、親族は両日、会社関係やご近所の皆様は通夜のみ参列されます。
■ 一日葬
通常は2日間ですが「1日だけにして欲しい…」というニーズから生まれたのが「一日葬」です。
❷ お坊さんを招く、仏式葬儀
昔と比べ…仏式葬儀は減ってきていますが、まだまだ「お葬式=お坊さん」です。
先祖代々のお墓を管理しているお寺さんを菩提寺(ぼだいじ)と呼びます。菩提寺をお持ちなら、葬儀の際は菩提寺の僧侶を招く事が必項となっています。
■ 無宗教葬
「宗教や戒名は不要です…」というニーズから生まれたのが「無宗教葬」です。
❸ 式場を借りて、大きな祭壇を飾る
昔は自宅を式場として利用していましたが、今は…式場を借りる事が前提の葬儀となっています。
普通のお葬式では、最低でも30名様は余裕を持って着席できるスペースを確保した式場を選びます。そして、祭壇ですが…現在は白木の祭壇より生花祭壇が主流で、会葬者が多い葬儀ほど大きな祭壇を依頼される傾向にあります。
■ 自宅葬 or 直葬
「式場も祭壇も不要です…」というニーズから生まれたのが「自宅葬」や「直葬(火葬式)」です。
❹ 知り合いや会社関係、ご近所さんなど多くの方の弔問に対応する
誰が弔問されたのか…?確認する為の受付です。
最近では、↑の図のようなテントは張らずに式場内のスペースで受付所を設けます。また、ご家族だけの場合や少人数の場合は、受付所自体…設けない事もあります。
■ 家族葬
「身内だけで送りたい…」というニーズから生まれたのが「家族葬」です。
❺ お香典を頂き、香典返しをお渡します。
お香典をいただいた皆様には、香典返しをお渡しします。また、会葬だけの皆様にもハンドタオルなどを付けた会葬礼状をお渡しします。最近では…葬儀の規模に関わらず、煩わしくないよう香典辞退も珍しくありません。
❻ 通夜ふるまい(料理)で、もてなします。
なぜ、料理をふるまうかと言うと・・・
仏教的な考えですが…「遺族は食べ物をふるまう(布施する)事により善行を積み、その善い行いが故人を成仏させる為の手助けとなる」という意味合いがあります。
地域により異なりますが、東京都ではお寿司や天ぷらを用意し弔問客にふるまいます。
❼ 弔辞や、挨拶があります。
昔は、繋がりや招いて…もてなす事を重要視していましたので、要所要所の挨拶は大切でした。
最近では、【家族葬】などの小規模葬儀の場合には弔辞が無い場合も増え、何回も挨拶をする必要性がなくなってきています。
❽ 葬儀が終わると、火葬所へ向けて出棺する
式場から火葬場へは霊柩車&バスで出棺します。
最近では田舎でも宮型の霊柩車は見かけなくなり、洋型(クラウンなど)の霊柩車が主流となっています。
現在では、葬儀費用を抑えられる…式場と火葬場が一体となった複合斎場もおススメです。
❾ 葬儀(告別式)の日は、懐石膳(精進料理)を親族に振舞う
火葬と収骨が終わり、お葬式のラストは故人と一緒に、会葬のお礼として懐石膳(精進料理)を振る舞います。
地域によって【精進落とし】や【お斎】など…呼び方が異なります。
❿ お遺骨は、納骨まで自宅に安置する
納骨は一般的に四十九日とされていますが、地域により異なることもあれば、お墓が間に合わない事もあります。
納得のお墓が用意できるまでは、ご自宅にご安置されていても問題ありません。また、現在では、散骨などのお墓を持たない選択もあります。
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各ポイントで紹介しましたが…以上が、いわゆる…普通のお葬式になります。
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普通のお葬式 = 「一般葬(いっぱんそう)」
かつてはシェア率100%を誇っていた普通のお葬式も、時代の変化とご遺族のニーズにより右肩下がりとなっています。
普通のお葬式から派生した【家族葬】や【直葬】がシェアを拡大してきたので、それらと区別する為…普通のお葬式にも新しいネーミングが与えられました。
その名も「一般葬」です。webや広告で「一般葬」という文字を見かけたら、それは、上記のようなお葬式の事となります。
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いかがだったでしょうか?
以上が、20年以上前では普通だった…お葬式です。しかし、今は…ご遺族様がお葬式を自由に選べる時代です。そして、今後も…お葬式は、簡略化されていくでしょう。
現在では、家族葬や直葬といった葬儀プランが認知されてきていますが、それも将来は、どのようになるか…? 誰も解りません。
普通のお葬式とは時代と共に変わっていきますので、ご遺族様の価値観で…時代に合ったお葬式を選んでいただければと思います。