お葬式だけに限った事ではありませんが、
見積書を貰ったといえ、事前にトータルの価格(総額)が解らないのは恐怖です。
見積書の金額が…
請求金額になる事は、まずありません。
お葬式の場合、ほぼ見積書より高くになります。
「安いかな…?」っと思って電話をしてみたら…「見積書の金額では葬儀ができない…」という事が解り、手間を感じる事もあるでしょう。
見積もりを貰っても、実際の請求金額が不明なら意味がありません。
しかし、どんな業界でも見積もりは安く作成します。少しでも安く表示し、電話や対面などの…問い合わせに繋げる為です。
ですので、お葬式の見積書とは…
その金額では、限りなく不可能な提案書とお考えください。
追加料金不要!の謎…
追加料金不要! これもよく見かけるワードです。
葬儀業界に限らず「追加料金不要!」とアピールしていますが、ちょくちょく消費者庁から景品表示法違反で措置命令が出されています。
それくらい「追加料金不要!」というワードにはクレームが多く、ご遺族様からしてみれば「追加料金が発生していますけど…」となる、誇大広告なのです。
見積書と請求書の間にある商品・サービスとは?
見積書が請求金額にならない理由は・・・
実際、当日近くや終わってみないと確定しない商品やサービスがあるからです。
例えば・・・
- お葬式で振る舞う料理は、当日…何名の方々が参列されるか? 前日にならないと分かりません。
- お体を保護するドライアイスも「いくつ必要なのか?」は、その時になってみないと分かりません。
他にもありますが…これらの内容は、
祭壇や棺を豪華にするといった…自分の希望で調整できるサービスとは違い…不足する場合は…必ず購入する事なってしまいまう商品・サービスです。
費用を変動させるサービス
ここで、費用を変動させる事になる…当日なってみないと分からない3点の商品・サービスを紹介します。



これらの商品は、利用した個数や回数で請求金額が変わってきます。
業者によっては、1回分しか見積もりに含まれていない場合や、あらかじめ2回分…3回分が含まれている場合もあります。
後者の場合は、1回分しか使用しなくても残数分が割引される事はありません。
見積書では、デフォルトの数をチェックする
以上3点の商品・サービスが「見積書の段階で…いくつ含まれているのか?」を確認します。
「0なのか?」 「1なのか?」 「それとも…3なのか?」
見積書の段階では、多く含まれているほうが…請求書の金額に近づきます。しかし…その商品・サービスを全て使わなかったとしても、未使用分が割引される事はありません。
そして、初期値が1の場合は、追加費用になる事が圧倒的に多くなります。
しかし…斎場の空き状況や直葬などの葬儀プランによっては、1つでも可能ですので…ウソではありません。
逆に、斎場が混んでいたり…ご遺族様の都合で葬儀の日を伸ばす場合は、見積もりに3つ含まれていたとしても、それ以上…利用する状況となれば追加費用になります。
単純な事ですが…落ち着いて考える時間が必要です。
落ち着いて確認すれば、とても簡単な事なのですが…見積書には他のサービスや商品も記載されています。
しかし、これらの項目や利用数を見落としてしまい「この料金で済むんだ…」と思い込んでしまいます。
ですので、最低でも事前に見積書を請求し…余裕のある時間に、見積書に目を通さなければなりません。
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もう少し詳しく紹介します。
❶ ドライアイスの使用数

季節によって異なりますが24時間ほどで気化してしまいますので、特に夏場の場合は…毎日ドライアイスを処置しなければなりません。
ドライアイスの利用数は、故人様の状態や葬儀までの日数により変わってきます。ですので、1つ利用するだけで済む場合もありますし、6回分を必要とする場合もあります。
見積書のチェックポイント
見積もりの場合は、最初にドライアイスの数が、いくつ含まれているか? を、確認する必要があります。
例えば…1つだった場合には…+2~4つほど追加する可能性が高いでしょう。(※ 直葬と呼ばれる葬儀形式の場合は、1つ分でも間に合う事があります。)
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❷ 安置室の利用日数

通常は、保棺庫と呼ばれる冷蔵室を利用しご遺体の腐敗を遅らせる事ができます。
ドライアイスとは異なり、凍結させることはできませんが、全身を一定の温度に保つ事ができますので、併用して使用します。
利用料金
利用料金は、宿泊施設のように 〇〇円/1泊 なり、葬儀までの日数が開くほど、料金はかかってしまいます。
また、安置施設により料金も異なります。
式場や火葬場に備え付けの施設もあれば、葬儀業者が提供する施設もありますので、料金や面会の有無などの希望を伝えると…より最適な安置施設が見つかるでしょう。
見積書のチェックポイント
ドライアイスと同様、式場と火葬場の混雑状況により、ご安置日数が定まりません。
もし…見積書の安置日数が1日の場合は、2日…3日分の料金を想定したほうが、より総額に近づきます。
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❸ ご搬送の回数

別の表現ですと…寝台車と呼ばれるストレッチャーの付いた搬送専用車を手配した回数です。
ですので、短い距離であっても、1回あたり20,000円~30,000円前後の利用料がかかります。(※ 1回あたり30㎞以内の平均利用料は30,000円前後です。)
搬送車の種類
病院 → 自宅 などのご搬送では、エスティマやエルグランドなどが大型車が使用され、式場 → 火葬場 へはクラウンなどの霊柩車が使用されます。
霊柩車の場合は同じ搬送業務ですが、車種によりプラス10,000以上…費用がかかります。
2日間の葬儀で例えると…
例えば、病院でご逝去され…ご自宅で安置…式場で通夜…というケースですと
出発地 | 目的地 | |
1回目(搬送車) | 病院 | 自宅 |
2回目(搬送車) | 自宅 | 式場 |
3回目(霊柩車) | 式場 | 火葬場 |
このように、ご永眠から葬儀終了までに必要な搬送の回数は3回となります。
イレギュラーな場合もあります。
ご遺族様の希望や状況により、搬送回数が1回で済む事もあります。
ケース その1
出発地 | 目的地 | |
- | ||
1回目 | 自宅 | 式場(火葬場) |
ケース その2
出発地 | 目的地 | |
1回目 | 病院 | 式場(火葬場) |
ケース その3
出発地 | 目的地 | |
1回目 | 病院 | 複合斎場 |
- | - | - |
- | - | - |
料金で比較すると…
料金 | |
1回目(搬送車) | 30,000円 |
2回目(搬送車) | 60,000円 |
3回目(霊柩車) | 100,000円 |
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以上…ご搬送の回数は、ご遺族様が「どんな斎場を選択するのか?」や「どんな葬儀を希望するか?」によって、搬送回数は変わってきます。
見積書のチェックポイント
搬送回数は、式場と火葬場の選択や、自宅に戻られるか…安置施設を利用するか…により異なります。
もし…費用を抑えたい…場合には、直接…安置施設が備わった斎場に搬送するのも1つの考えとなります。
突発的な追加費用
イレギュラーなケースなので、初回の見積書では載らない費用もあります。
突然のご不幸による追加費用
イレギュラーなケースの代表として…突然のご不幸(警察の介入)があります。
それは…病院でのご永眠とは異なり、突然死や旅行中の事故などで、お亡くなりになられた場合…病院ではなく…死亡地近くの警察署に故人様をお迎えにあがるケースが多くなります。
突然のご不幸で追加費用になる内容とは?
例えば…ご安置されている警察署までの距離が長い(片道50km以上など…)と、搬送料金が別途に…かかってしまいます。
また、病院等で行われる故人様への処置も、警察では行いませんので、葬儀スタッフが代行したり浴衣などを用意します。そのサービス料も業者によっては必要となるでしょう。
他には、故人様の状態によって安置施設の冷蔵室を必ず利用する必要があり、その施設利用料が生じます。
ただ…このようなイレギュラーなケースは、既に病院等でご静養中であれば…ほとんど、ございません。
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いかがだったでしょうか?
昔に比べ…葬儀費用を抑えることができた要因の1つに、使った分だけ費用が加算される見積もりの仕方があります。
以前は、使っても…使わなくても…葬儀費用は変わらず、たくさん使われた場合に合わせて価格が設定されていました。
いわゆる「コミコミパック」や「300万円のお葬式」など、ほとんど追加費用が発生しないプランです。ご遺族様によっては「こっちのほうが、解りやすくて良い」と感じられるかもしれません。
現在の主流は…
しかし…現在の主流は、お葬式を執り行える最低限の商品やサービスを提示して、そこから…利用数に合わせて費用が追加されるシステムです。
パソコンでいえば…好きなパーツを自由に選べるBTOパソコンのようなシステムです。
このシステムは、葬儀費用を安く見せられるので広告面からすると大きなメリットがありますが、誇大広告につながったり、支払い時にトラブルとなるケースがあります。
このようなトラブルに巻き込まれない為にも、事前に見積書を確認し、そこから「請求金額が…いくらまで追加される場合もあるのか?」を事前に確認しておく必要があります。