仏教はストイック! お葬式専門の宗教じゃありません。

お坊さんやお寺などを含め、仏教は葬式専門の宗教…と思われる皆様も多くいらっしゃると思います。

近年では、宗教色のない葬儀が増えてきましたが、まだまだ葬式といえば…お坊さん…が頭に浮かぶと思います。しかし、それは仕方ないことで…一般の人々は葬式の時くらいにしかお坊さんと接する機会がないからです。

さらに、独特のお経やお寺の隣にはお墓が建っていることが多いので、よりいっそう葬送の専門家として映ってしまうことでしょう。

仏教の入門書には、何が書かれているの?

例えば…上記の書籍に、お葬式やお墓のことが…どれくらい書かれていると思いますか?

実は220ページ中…20ページほどしか書かれていません。しかも、一番最後の章に書かれていますので、優先度としては最低となります。

このように、仏教 = 葬式・墓 ではありません。

仏教って何?

仏教とは、紀元前500年ごろに実在した人(お釈迦様)の教えです。

仏像では阿弥陀如来【あみだにょらい】や大日如来【だいにちにょらい】、釈迦如来【しゃかにょらい】など多くの名前を聞きますが、実在したのはお釈迦様のみで…その他の如来や菩薩は、のちに創作されました。

創作された理由は、お釈迦様の教えに対する考え方の違いです。詳細は省略させていただきますが…仏教は上座部仏教と大乗仏教の2派に分かれてしまい、多くの菩薩や如来を創作したのが後者になります。

現在では、禅宗や真宗、日蓮宗など様々な宗派がありますが、その原点がお釈迦様になります。

お釈迦様の教えとは…何?

お釈迦様の教えとは…生き方や考え方、心構えのことです。今でいう…道徳や自己啓発になります。

なので、死後の世界については…肯定も否定もしなかったそうで、お葬式の手順などを決めた訳ではありません。

お釈迦様の教えは、あくまでも…「現世で正しい生き方をして悟りをひらくこと」を重要視していました。

輪廻転生で、生まれ変わるんじゃないの?

輪廻転生は、仏教以前にあったインド(バラモン教)の思想です。

ですので、お釈迦様が創ったわけではありません。輪廻思想は、死んだ後…5つ(6つ)の世界のどれかに生まれ変わり続ける…という内容です。

バラモン教は、輪廻思想を現世でも当てはめた…カースト制度を作り出しました。

お釈迦様の仏教は、カースト制度を否定し「前世の行いに左右されず、現世で解脱できる」と説きました。また、「遠い未来のことを、あれこれ考えてもしょうがない…」といっています。

有名な教えは諸行無常

一度は聞いたことがあると思いますが、諸行無常【しょぎょうむじょう】もお釈迦様の教えです。

諸行無常とは、常に変化することです。いつまでも現状をキープしたいと考えたりモノや金、愛情があり続ける…と考えると、そこに執着が生まれ、思うようにならなくなり苦が生まれる…といった内容です。

現在でも、著名人の犯罪や大企業の隠蔽・倒産などを聞くと…諸行無常を感じることが多々あると思います。

他にも色々と教えがありますが、読んでもイマイチ理解できない内容だったり解ったようで解らない…と感じられるかもしれません。

しかし、ここが仏教の一番面白いところでもあります!

成仏とは、死んでから仏様になることではない!

日本で成仏【じょうぶつ】といえば、死後に天国や極楽で仏になる…と考えられています。

しかしお釈迦様の仏教では、お釈迦様と同じように生きているうちに悟りをひらくことが成仏となります。

日本では、仏教が伝わるまでに中国を経由したり、長い年月をかけて様々な信仰や人物の影響を受けたので「死ねば…皆…仏」となりました。

また、仏壇に向かってお参りする際の対象も、お釈迦様などの本尊【ほんぞん】ではなく故人が対象となっていますし、本尊より遺影を大切にされている皆様も多いことでしょう。

入門書には何が書かれているの?

この本の内容は、少しでも仏教の本質に興味がないと…「スグに挫折するほどのつまらなさ…」だと感じると思います。

この本を読んだからといって、スグにお金持ちになれるとか…運がよくなる…ということもなく、ただのキッカケにしかなりません。

ですが、仏教の本質を知ることができれば「別に、葬式にお坊さんが居る必要もないよね?」と気付くこともあるでしょう。

お釈迦って、どんな人

若きお釈迦様は、なかなかのキレっぷり

お釈迦様の名前は、ガウタマ(ゴータマ)・シッダールタといいシャーキャ族という地方豪族(小国)の王子でした。

シャーキャを漢字で書くと釈迦になるので、お釈迦様と呼ばれています。他にも、釈尊【しゃくそん】やブッダとも呼ばれています。

そのお釈迦様には妻子があり、王子として跡継ぎの予定でしたが29歳のときに全てを捨てて出家してしまいます。

悟りの境地をめざし壮絶な苦行のなかで、スジャータという村娘から乳粥をもらい苦行は心理への道ではないことを悟ります。

コーヒーフレッシュで有名なスジャータというネーミングは、お釈迦様の話から名付けられたそうです。

生まれたら…苦のはじまり 四苦八苦

お釈迦様の教えでは、苦を生み出す原因を探し苦を乗り越える思考を持つことが1つのテーマとなっています。

四苦とは?
どのように生まれてくるか…わからない
老いていくことから逃れられない
病気に悩まされる
誰にでも、必ず死が訪れる

この4つ生老病死【しょうろうびょうし】といいます。

残りの四苦とは?
愛別離苦【あいべつりく】 愛する人との別れは必ずやってくる
怨憎会苦【おんぞうえく】 どんなに嫌いな人でも、会わなければならない
求不得苦【ぐふとくく】 モノや地位を求めても、手に入れることができない
五蘊皆空【ごうんじょうく】 心と体が煩悩を生じさせ、自分の思い通りにならなくなる

前半の四苦と、後半の四苦を合わせ…四苦八苦となります。

後半の四苦は、現役のサラリーマンほど痛感するのではないでしょうか…?この四苦を乗り越えていく為、お釈迦様は正しいものの見方、考え方を身に付け行動しましょう…といっています。

これを八正道【はっしょうどう】とよび、僧侶の基本的な修行理念となりますが…一般人にも通ずるものがあると思います。

六波羅蜜【ろくはらみつ】

しかし、八正道は難しく出家した僧の修行方法だったため、在家(一般)の人でも実践できるよう六波羅蜜が説かれるようになりました。

六波羅蜜とは、彼岸(悟り)にいたるための6つの方法です。また、5つの行いにより6つ目を得ることができます。その6つとは下記の通りです。

1.布施【ふせ】 慈悲の心をもって施すこと
2.持戒【じかい】 戒(規則)を守ること
3.忍辱【にんにく】 忍耐強い心をもつこと
4.精進【しょうじん】 怠けないで努力すること
5.禅定【ぜんじょう】 心を静かに集中すること
6.知恵【ちえ】 道理を理解する事

読むだけなら簡単ですが、これを深く理解して継続するとなると…とても難しい事だと思います。また、6.知恵のことを 般若【はんにゃ】ともいいます。

そして、このなかでピンとくるのは ① の布施 ではないでしょうか?

お布施の金額を定めない理由

お葬式のときに、お坊さんによって…お布施の金額は「お気持ちで…」と言われることもあります。

それは、在家(一般)の人にとって布施とは修行だからです。布施とは、見返り求めないで与える…利他の心のことです。ですので、現金ではなく現物でも良いわけです。

布施は在家(一般)の人の自発的な行動に意味があるので、僧侶から金額を指定しては布施の意味がなくなってしまい、ただのサービス料になってしまいます。

ですので、お坊さんは「お気持ちで…」と言うのです。

しかし、お気持ちで…といっても、それなりの相場があるので、葬式や法事の場合では「お布施 = お勤め(戒名料)の対価」として扱われているのが現状でしょう。

また、僧侶の紹介や派遣を行う営利サービスもありますので、もう…お布施とはいわず…サービス料でいいんじゃないの? とも思えてきます。

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いかがだったでしょうか?

ほんの一部ですが簡単に、仏教とお釈迦様の教えについて紹介させていただきました。

仏教は、他の宗派と異なり神を信仰していません。なので「捧げもの」とか「神のお告げ」などは無く、宗教っぽくない宗教だと思います。

お釈迦様の死後、菩薩とか如来とか…細かい設定が創作され、様々な宗派も誕生しましたが、仏教の教えは明確で「お釈迦様のような人格者になれるよう日頃から努力しましょう!」ということです。

仏教は、意外とストイックで実践的な宗教です。もう「信じれば救われる…」という時代ではないでしょう。葬式仏教ではなく、お釈迦様の教えを実践し、自力で困難を打開することが大切なのではないかと思います。

仏教全体ではなく、もう少しお釈迦様の教えや背景に興味があるかたは下記の書籍もおすすめです。


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