あなたは欲しい?「なぜ死後に戒名を授かるのか?」

自分が死んだとき戒名って欲しいですか? それとも、当然…必要だと思いますか? はたまた「そんなもの要らない!」と思いますか?

島田裕巳氏の「葬式は要らない」から、謎の戒名の件について紹介します。

この戒名については、残念ながら…知れば知るほど…不要なものと感じてしまいます。逆に「よく今まで残っている風習だな~」とも若い人は感じてしまうことでしょう。

なぜ…死後に戒名を授かるのか

書籍「葬式は要らない」では、中盤あたりで書かれていますが、お坊さんからすると戒名を付けなくてはならない事情があります。

それは、多くの寺院では収入源をお布施に頼るしかないからです。そのお布施をもらうためのサービスの1つが戒名授与です。

しかし、布施の性質上…お坊さん側から催促することはできません。なので、お布施の金額を聞いても「お気持ちで…」と答えるしかないのです。

また、「言い値」で戒名料を決めている寺院もまだまだあり、その辺りが葬式仏教…とか坊主丸儲け…などと言われるゆえんです。

死んだら出家…これナイスアイディア!

戒名は、俗人から出家して僧侶になる際に与えられる名前です。

なので、お坊さんは戒名があります。しかし、日本では亡くなると(仏教葬儀を選択した場合)無条件で出家させられてしまいます。

よく、お坊さんから「亡くなると…お釈迦様のもとで修行する」と聞いたことがあるかもしれませんが、それは故人が僧侶として出家するからです。

出家させられば…戒名を授ける口実ができる

今の葬式は、禅宗(宗派の1つ)によって在家信者の為に確立され、その葬式の中で出家する儀礼があります。

なので、仏弟子となったからには戒名を授けなくてはならない…という名分ができ、それが今では…お布施(商品)の1つとなりました。

そして他の宗派に広がっていったので、仏教ではどの宗派を選んでも戒名からは逃れられません。

庶民に戒名が定着したのは江戸時代

寺院が幕府の管理下の元、戸籍管理のような仕事をしていた江戸時代、より安定的な収入を得られるよう捏造された法度が民衆へ流布させました。

それを…御条目宗門檀那請合之掟[ごじょうもく・しゅうもんだんなうけあい・のおきて]といい、その1つに戒名を与える…という内容が盛り込まれました。

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▼ 葬式は要らない より

戒名は仏教的な伝統だと言える。(中略)だが、それはあくまでも出家者のためのもので、一般の俗人が授かるものではない

死者は、生の世界から死の世界へ移るものの出家したわけではない。

戒を順守しない僧侶から、戒名をもらっても説得力がない

俗人(一般人)からすれば、世間から離脱し戒律を守って修行している僧侶であれば、何か俗人とは違う神秘的な力を秘めていても不思議ではない…と感じるでしょう。

しかし、日本の僧侶は俗人と同じように酒を飲み普通に暮らし、食肉妻帯の僧侶です。

それなりの修行を積まれていらっしゃると思いますが、布施をしてまで戒名を授かりたいとは(特に若い世代では)思わないでしょう。

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▼ 葬式は要らない より

僧侶が破戒の道をたどっている以上、戒名を授けることなどありえないのに、現実は、葬式の際に僧侶による授戒が行われており、これは極めて矛盾したことだ

膨大な数存在する仏典では、戒名について説明されていない。それも、戒名という制度が存在するのは、仏教が広まった地域でも、この日本だけだからである。

戒名のランクが、およぼす影響

戒名には、院号などのランクがありますが、現在はご遺族が希望すれば上位ランクの院号も貰える時代です。

しかし、どのランクでも定額という訳ではなく高位のランクは、それなりの上乗せ料金があります。また、唯一、戒名のランクが無い浄土真宗でも、割増しで院号を付ける(買える)ことができます。(※ 真宗の場合では戒名ではなく法名と呼びます)

年代によっては、長い戒名に憧れがあるかもしれませんが、お金で買える以上…その価値に疑問を持っている皆様も多いでしょう。

高位ランクの戒名が、重荷になっていく家族や子孫

例えば…先に逝去した父親が高位ランクの戒名をもらった場合、母親の戒名もつり合いがとれるよう同じ高位ランクの戒名を依頼しがちです。

それは「お父さんが高位ランクの戒名なのに、お母さんが並ランクではかわいそうでしょう…」というアドバイスがなされるからです。

そうなると、戒名料も跳ねあがり、残された遺族の金銭的負担が増大します。そして、死者が出るたびに高位ランクの戒名をもらった故人を引き合いにされてしまいます。

しかし、現在では戒名のランクを落としても、まったく問題ありませんし、ランクを揃える理由もありません。「高位ランクは、欲しい人が買う…」という時代になっています。

高位ランクの戒名と、寄付の金額は比例する

昔の村々では、高位ランクの戒名を貰えるのは限られた家(一族)だけでしたし、一族にとってそれなりのステータスもありました。

そのステータスのおかげで、近所から持てはやされていれば高額な寄付も気にはならないでしょう。

しかし、今の時代…高位ランクの院殿居士や院居士が付いていたとしても、何の価値があるのか解らない方も大勢いらっしゃいます。

ですので、ご先祖が…たまたまお金で買った高位ランクの戒名のおかげで、残された子孫に高額な寄付を求められるケースがあります。

時代は変わっていますが、お寺は変わっていない事が多く、檀家は菩提寺の援助をする事が務めだ…と考えている寺院もまだまだあります。

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▼ 葬式は要らない より

戒名の問題は故人だけだなく、家全体に影響する。(中略)寺の側は、檀家がそのあたりの事情を理解していることを前提にしているから、当然の要求をしているつもりになっているが、事情が分からない檀家には理不尽な思いだけが残る。

戒名に対する価値観は人それぞれ…

私…個人的には、菩提寺をお持ちでないご遺族様が戒名の授与を望む場合「よく考えてからお決めください…」と念を押します。しかし、結局は理屈ではなくご本人の価値観や信心に委ねられます。

欲しい人は…欲しい、要らない人は…要らない

「よい戒名が欲しい…」という人は絶対に戒名を授かりますし、高ランクの院号を希望されることも珍しくありません。なので、ご家族が説明してもなかなか気持ちは変わりません。

それくらい戒名は、あって当たり前の存在で、お金に余裕があれば、尚更…欲しがるでしょう。特に70歳前後以上の皆様は、戒名を付けてもらう事が当たり前と思っている世代ですので何の疑問も持ちません。

反対に、60歳以下であれば「俺は無宗教!」という人が増えてきます。このような皆様に戒名は絶対に売れません。戒名に価値観を感じていませんし、説明して納得できるものではないからです。

日本では戒名は風習…だと思う

なので、いずれ…宮型霊柩車や白木の祭壇のように消えてゆく運命でしょう。そして「昔は戒名という風習があったんだよ…」と語り継がれてゆくかもしれません。

特に…今の親御さん世代は、子供の名前には「キラキラネーム」と呼ばれるくらい個性の強い名前を与えていらっしゃいます。もう戒名と同じくらい…読み方が分からない名前もたくさんあります。

なので、自分の名前に愛着を持ち「最後まで自分の名前がよい…」と考える傾向が強くなると思います。

戒名は、〇〇居士、〇〇信士 など…どうやっても外せない共通した文字(ランク)があります。これも、オリジナリティを重視する人から見ると量産的に感じられてしまうでしょう。

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いかがだったでしょうか?

死後に戒名を授かる理由…それは「お寺さんにも生活があるから…」ということになります。

しかし、戒名を授かりたい…という方も、まだまだいらっしゃいます。将来、どうなるか分かりませんが、今の30代くらいまでが戒名を授かるラストの世代かもしれません。

逆に、戒名ブームが突然やってきたら、それはそれで面白いでしょう。ちなみに私は、現在の価値観となりますが…戒名は不要です。皆様は、いかがでしょうか?


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