直葬(火葬式)では、できる限りご自宅への安置をおすすめしていますが、都合上…止むを得ず、安置室を借りるしか選択が無い場合もあります。
そこで、都合が良いのが…火葬場に備わっている安置施設を利用する方法なのですが、ご自宅や式場とは違い…自由に使えるスペースが用意されませんので、いくつかの制限が発生します。
今回は、その制限について紹介いたします。
そもそも、火葬場の安置施設とは…どのような場所かというと?
安置施設は、火葬場内にあり一般の皆様は、まず気付きません。↑の図のように、だいたい…「お別れスペース」と直結しています。
「お別れスペース」とは、お棺の蓋を開けた状態で故人様とお別れをしていただく部屋となります。
火葬場の造りにより異なりますが、個室の場合もあれば…火葬炉の目の前、複数のご遺族様が共同で利用する大部屋タイプがあります。
霊柩車での移動はありません。
お別れスペース と 安置室 は直結していますので、専用の台車で火葬炉前までお連れします。
ですので…霊柩車には乗せず、皆様方が当日…故人様と対面する時には、お別れスペース にご安置された状態となっています。
お別れの時間は、約10分
お棺の蓋を開けた状態でのお別れは、10分程度となります。この時間で、副葬品やお花を手向けていただくことが一般的となります。
※ 火葬場では、どなた様もお別れの時間を長く取る事はできません。
お焼香は、火葬炉に納めた後になります。
火葬場により異なりますが、基本的には火葬炉に納めた後…ご遺族様やご参列いただいた皆様のお焼香となります。
お坊さんが居る・居ないに関わらず、焼香していただけます。
お坊さんがいる場合は、いつ読経するの?
直葬でも、お坊さんがいらっしゃる場合は、読経の時間があります。
タイミングとしては、お別れの際中や焼香の時になります。時間としては、10分~15分程度となり、お別れと同様…長い時間を取る事ができません。
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ご安置の際の注意点
火葬場の安置室を利用する際にも、事前に知っていただきたい事があります。
❶ 納棺をしないと、火葬場の安置室は利用できません
火葬場の安置室は、納棺された状態でないと利用できません。
ですので、納棺をするタイミングは火葬場の安置室に安置する時のみとなり、後から改めて納棺をする事ができません。ご遺族様も病院から直接、安置室に移動できれば、そのタイミングで納棺に立ち会っていただけます。
しかし、その場にいらっしゃらないご親族様が「どうしても、納棺に立ち会いたい!」という場合は、火葬場の安置室ではなく、別の安置施設を利用する事によって解決できます。
※ これまでの経験上、約9割のご遺族様は「お別れができれば…納棺まで立ち会わなくても大丈夫です…」と、おっしゃられます。
もし…火葬場の安置室にご安置される場合は、その場にいらっしゃるご遺族(関係者)様と、スタッフにより納棺されます。
❷ 安置室が満室で利用できない場合もあります
東京都では火葬場が足りないと騒がれていますが、実は安置室も満室になってしまいます。
ちょっと寂しく感じられるかもしれませんが、東京都23区でみると安置室の利用を前提として、葬儀を考えられているご遺族様が7~8割ほどで、それがスタンダードになっています。
火葬場にも営業時間があります。
火葬場にもよりますが、深夜(0:00 ~ 7:00頃)は営業時間外の為、安置室への移動ができません。
朝から夕方の間でしたら問題はありませんが、深夜の場合には…火葬場の安置室ではなく24時間対応の安置室を利用する事になります。
別の方法として・・・ご遺族様に時間の余裕がある場合は…病院へのお迎えの時間を調整し、火葬場の営業時間に合わせる事も可能です。
❸ 安置施設は、貸し切りの施設ではありません。
火葬場の安置施設は…安置室といっても、個室ではなく保棺庫(ほかんこ)と呼ばれる大型保冷庫が複数設置されており、それぞれ故人様が安置されています。
ですので、安置室に供物や大きなお花を持ち込んだり、飾る事はできません。お棺に収まるお品でしたら、直接…お棺の中に納めていただけます。
❹ ご面会につきまして
葬儀まで日数が有る場合はご面会が可能ですが、基本的に保棺庫が並んでいる共用のスペースとなります。
その為、他のご遺族様も面会にいらっしゃるので、面会の時間帯や面会時間にも制限があります。ですので、いつでも面会できる…という訳ではありませんのでご注意ください。
また、安置室によっては葬儀業者の手伝いがないとお棺を保棺庫から出せませんので、ご面会の際は別料金が発生する事もあるでしょう。
[補足]お体の状態を保つ役割
保棺庫の中は常温ではなく5℃くらいに設定されており、お体の変化を遅らせる事ができます。
暑い時期に自宅にご安置する場合は、ドライアイスだけではなく、エアコンが効いたお部屋も絶対条件となりますので、状況により保棺庫へのご安置が必要な場合もあります。
また、故人様の状態によっては、全身を冷却する為に…ご自宅ではなく安置施設へお連れしなければならない事もあります。
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以上が、火葬場の安置室を利用するうえでの注意点となりますので、ご参考ください。
安置施設を利用した流れ
直葬で、火葬場の安置施設の利用した場合の流れを紹介します。
① 安置室の空き確認
お迎えの前に、安置室の空きを確認し予約をします。
② お迎え(ご搬送)
病院等へお迎え後、予約した安置施設へ向け出発します。
③ ご安置・ご納棺
安置施設へ到着後、ご納棺を行いご安置いたします。
④ 火葬場へ集合
葬儀当日は、火葬場へ直接お集まりいただきます。
⑤ お別れ(お花入れ)
約10分ほどですが、最後のお別れを行います。
⑥ 火葬・焼香
火葬炉に納められたのち、お焼香をしていただけます。
⑦ 休憩
火葬が終了するまで、休憩室でお待ちいただきます。
⑧ 収骨・終了
皆様でご収骨をしていただいたのち葬儀の終了となります。
⑨ ご帰骨
葬儀後は、ご自宅で安置するための祭壇をご用意いたします。
※ ご永眠の時間帯や安置施設の混雑状況により、病院等から直接…火葬場の安置施設へご搬送できない事もあります。
自宅でのご安置と異なる点…のまとめ
最後に、自宅でのご安置と火葬場の安置室でのご安置の違いをまとめましたのでご確認ください。
- 安置施設の混雑状況や時間帯により、ご永眠後…必ず利用できる訳ではありません。
- ご安置する際、ご納棺を必ずします。
- ご面会は可能ですが、時間帯や時間の制限があります。
- 当日の集合場所は、火葬場になります。
- お別れの時間は10分ほどとなります。
現在では(特に東京23区)、火葬場の安置施設を利用する直葬は一般的となっています。
便利な反面…利用上の制約もありますので、火葬場の安置施設を利用する場合には、「もしも…安置できなかったら…」という事まで考えておく必要があるでしょう。
しかし、火葬場以外の安置室もあり、場所や業者を選ばなければ…100%ご安置できます。安置施設が見つからない…という事はありませんのでご安心ください。